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3.2 種類の梁モデルでの概算
浮体構造の弾性支床モデルの例には、板構造でモデル化したものがいくつか報告されている4)7)。本節では、Fig.2に示すように浮体構造を弾性交床上の2つの梁long beamとshort beamにモデル化する。するとこれまでの議論がそのまま適用できる。このモデル化が妥当であるかについてはここでは詳しく議論しない。
線密度pAは、
long beam phB
short beam phl
である。ここにB:幅、h:板厚である。まず鉛直振動について議論し、続いて水平面内曲げ振動、最後に伸縮振動について調べてみる。

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Fig.2 Long beam and short beam on elastic foundation

3.1 鉛直振動
断面2次モーメントIや浮力弾性係数kcは、
I kc
long beam Bh3 / 12 pwatergB
short beam lh3 / 12 pwatergl
である。このとき特性波数は、

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となり、縦方向と横方向のヤング率が異なるとき、long beam、short beamそれぞれの特性波数、それに対応するピーク値が存在することになる(ただし波向きに注意)。また、等方性の場合には2つの特性波数が一致することになる。pwater, gが普通定数であることを考えると、kpをずらすには、剛性あるいは板厚を変更しなければならない。また零点振動は、

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となり、分布質量が一様であるなら等方的である。すなわち最低次モードは、長手方向、短手方向で同時に共振する。ω*が小さいときには連続的に共振周波数が続くので、長手モードと短手モードの多種多様な組み合わせの重なりが見られることになる。
Table1のような諸数値を用い、両端自由の場合に各パラメータ値等を計算した。ただし準給的な波数同期応答変位振幅は定数(1,272ζ0)なので特に示していない。また新面係数Zは骨組部材が鋼でできていると考え算出したものである。また応答の周波数特性の様子をFig.3,4に示

Table1 Numerical data and results for vertical vibrations

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す。Fig.3はlong beamの自由端応答変位振幅の様子である。Fig.4はlong beamの自由端から107m離れた位置での曲げ応力の様子である。鈴木ら6)7)の示したように、波数支配領域と周波数支配領域に明確に別れている。これは解析解6)9)からも明らかである。また自由端からl/4部までの範囲での、波数領域での応答の変位振幅分布と曲げ応力振幅分布の様子をFig.5、6に示す変位振幅については自由端で大きくなり、自由端より鈴木の特性距離程度離れると振幅は一定値になる6)。曲げ応力については端部で応力振幅の変化が激しく、ここでも自由端より鈴木の特性距離程度離れると振幅は一定値になる8)。
3.2水平曲げ振動
水平振動の場合は外力が明確でないが、同様な周波数特性を調べておく。断面2次モーメントIや浮力弾性係数kcは、
I kc
long beam hB3 / 12 0
short beam hl3 / 12 0
である。このとき特性波数、零点振動は、
kp = 0,ω0 = 0
となり、いきなり周波数支配領域となる。Table2のような諸数値を用い、両端自由の場合に各パラメータ値等を計算した(Table2)。注意する事は、水平曲げ振動(long)の低次モードが、構造全体としての低次モードになっている点である。

 

 

 

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